3月12日、吉田博の淡い色彩の木版画を求めて東京都美術館を訪ねた。最近のアニメ作家も憧れる画風だ。
明治9年から昭和25年に生涯第一線で活躍し、74歳で他界した。作品の時代背景は今日から比較的近い(と考える)。
作品を鑑賞する前、個人的に期待したことは、光る海や川、滝などの水の表情。当時の生活の様子。世界中の国々を旅することを愛した画伯の風景画。

1926、絵葉書
会場にはまるでカメラで撮ったような自然風景が数多くあり、いかに一生の間、旅の先々で自然を愛でていたかがわかる。中国蘇州は私も旅した町、思い出す。

意外なことに戦後1945年以降は1枚制作しただけだ。ー 晩年の作品は「農家」ー。
吉田画伯は人物を得意としなかったが、この絵には農家の台所で家事をする婦人が二人描かれている。当時の何気ない日常のワンシーン。戦争が終わった後、平和を徐々に取り戻した1946年の作品だ。
