発声される思いと頭の中の思いとは、少し位置が違う。
音波と頭の中の意志との違いはもちろんのこと、空気の揺れと頭の中の揺れがない念波との違いだ。
生き物の音波と人工的な音波は違う。植物が出す念波は聞こえないが、音に変えると軽やかな波で可憐な音。植物の前を通るとその波の気配を感じる。大きな木の前を歩いても、大きな波を感じる。力強い波、木の強さ。生き物の出す聞こえない波は多い。
このほかに肌に突きささってくる波がある。
人間の体に突きささり、また出ていく。入った反対の方向に出ていく。電線と鉄塔のように、人間が受けた波はそれが来た方向と反対の方向に伝わっていく。この波は元の方向に反射することなく、通り抜けていく。
人間の体なくしてこの波は伝わることができない。人間は波を発信する役をしている。意識しないで受けた波は同じ仕組みにより出ていく。何の努力もいらない働きで、多くのものが働くのが世の中の状態だ。
しかし労力なしでは働かないものも一部分ある。人間の意志である。
意志が働かなければ人間は働けない。自然の意志は意志とは言わない。一生の間、自分の思いを発動しない人もいるが、意志の発動は努力して出す。
大きな発動は大きな意志。小さな意志を働かすと小さな発動を起こす。意志次第で大きくもなり、小さくもなる。