ジュンの思い出

12月30日の朝、急に昔飼っていた猫の大往生の日を思い出した。

ヒーターの上のージュン

確か16歳を過ぎていた。だんだん食が細くなった。片方のまぶたも下がって見えにくそうだ。治療もできなかった。ペルシャ猫系の雑種。ロングヘアで毛の中の体は外見ではわかりづらい。その頃は持ち上げると羽根のように軽々として驚いた。

その日の午前中、ジュンは家の中の階段下に座っていた。もう体力がなく、ほとんど動き回ることが出来なかった。名前を呼ぶと、いつもと違って後ろに向く。何か隠しているのだろうか?

正面を見ると、痩せて細くなったせいか、首輪と体の間に前足が入り込んで動きが制限されていた。そんな姿を見られたくなかったのだ。急いで前足を降ろした。やはりジュンは精神が強い。プライドが高い。

その日の午後、ジュンの姿は消えていた。庭、床下、近所、どこを探してもいなかった。その頃は散歩などできるはずもない。

いつか「完全な死は空中へ消えてしまう」と本で読んだことがある。

テレビの上のジュン
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