手。人間の手をしげしげと見つめると、まことによく出来ている作品だ、と思う。五本の指、それぞれの位置、長さのバランス、全体の形、等々。私は手に現れる人間の内面の感情を見るのが好きだ。何故ならば、醜い手の表情がないからだ。
顔の表情は時として、抱きしめたいくらい、素晴らしい表情を作る一方、正視に耐えられないくらい、意地の悪い表情も作り出す。その素材は、目、口、眉が主なものである。手と同じく五つの部位で作り出す。
手の表す表情で一番多いものが、恥ずかしさ、落ち着かなさ、緊張感などであろう。その次は、断固たる決意、例えば、こぶしを握りしめてやるぞ、という意気込み、絶対に負けないぞ、と頑張っている最中の表情であろうか。手を打って嬉しさを表現する人もいる。手をたたいて喜ぶ。反対に手を握って悲しみ、辛さ、悔しさに耐えることもあるだろう。手は道具を操るばかりでなく、情緒面では、逆に手が道具になって見えない感情を表すことができる。