部屋はその人の心の状態を表している、とよく言われる。
部屋の中でいろんなことが起こる。外で起こることとはまた違った空間である。野外には空間がないが、部屋は仕切られているので、人工的な空間、小さな世界が作られる。境界線があるからそこは自分の世界だ。部屋の中で物語が起こる。人は囲いの中で生きているので、人間模様は部屋の中で起こる。いったんそこから飛び出せば、外の空気に触れ、人間模様は目に触れなくなる。人間は必ず囲いに戻るので、野生の人でない限り、また自分の世界に入らざるを得ない。部屋は大切だ。
部屋は物で出来ているが、空間も存在し、部屋が自分の体を包んでいるようだ。だからインテリア作りは人に重要な影響を与える。ストレスを軽減するためには、何をしたらいいか? いろんな提案がなされている。個人的にも集団でも社会単位でも、ストレスを減らすには環境美化、つまりインテリアの美化が有効である。
美しく生活するは、環境美化にも目を向け、体を清潔にするのと同様に部屋を清潔に保つことである。そして衣類で装うように、色の配色を考えて部屋を飾る。動きがスムーズになるように家具を配置する。物は自分から声をかけてコミュニケーションを取らないが、そこにあるだけで影響を与える。空気の流れも変え、色彩は光の波長の違いなので、目に入る影響もある。
本棚の書物も多大な影響を与えるものだ。たとえ読まなくても良書があると、それだけで良い影響を与える。本屋や図書館を訪ね、違った分野の棚の前に立てば、納得できるかもしれない。本の質は読んでも読まなくても部屋にあると影響を与える。良書には長い歴史を経て残ってきたものが多くある。悪書は廃れていく。
現代はコンピュータが置いてある部屋が多いだろう。パソコンは道具であり、電子社会の窓口である。たとえば電子本は書物と違って、置いてあるだけで良い影響を与えるとは言えない。本のストーリーを追ったり、調べたりと便利だが、電気がなければ消えてしまう運命にある。目の中に入る入り方も違う。有名人の手紙は文化的価値を見い出され、研究の対象にもなる。一方有名人のメールが後世、博物館に展示されることはないだろうと思われる。