奥入瀬渓流

7月のはじめ、奥入瀬渓流ホテルを訪ねた。
友人は中学校修学旅行以来の再訪、また涼やかな渓流を眺め、空気を味わうのが目的だ。

森の神話、東館ロビー

私の方と言えば、岡本太郎が好んだ土地であり、ホテルロビーに天井に届かんばかりの彼の作品を鑑賞するためだ。東館と西館に一体づつそびえ立っている。

ラウンジ河神、西館ロビー

奥入瀬渓流一帯は「苔の聖地」とも呼ばれ、300種類の苔が渓流沿いに見られるそうだ。ブナ林の中には珍しい動植物が生息している。朝、ホテルの専用バスで「阿修羅の滝」で下車、30分ほど散策と渓流の流れを楽しんだ。

天然記念物指定ー苔の聖地

十和田湖からの水は200メートルの高低差により、70キロの川となり、太平洋に流れ出る。そのうち、14キロが奥入瀬渓流と呼ばれ、特別名勝と天然記念物に指定されている。植物、石の持ち出し、持ち込みは禁止されている。将来は車両禁止地区となるそうだ。

「銚子大滝」
  十和田八幡平国立公園

品格

「歳をとっても品を保つにはどうしたらいい?」
年若い知人が、質問してきた。

品について考えているとは意外だ。私は即座に横綱の品格を書いた記事を思い出した。
「嫌いな人にも礼儀よく挨拶ができるのが横綱の品格だと読んだことがある」「わかりやすいね」

私自身、古希を迎えてこのテーマは考えたことがある。
品格をどうとらえるかは、人それぞれの感じ方があるだろう。辞書を引いても抽象的な説明しかでてこない。

気品ある弁財天像、カメオ
弁財天像、カメオ

見かけから感じる品の良い人もいる。
人間関係やコミュニケーションの中でいえば、品を保つとは、「相手に恥をかかせないこと」と歳を経て感じる。これは実践しようとするとなかなか難しい。反対意見をどう表現するか。相手の意見を否定することなく、相互理解に導くにはどうするか。

第三者が聞いていても嫌な気持ちにさせず、相対する人に恥をかかせずに、喧嘩したり、議論できる人は品格がある人だと思う、と私見を伝えた。

6月19日は「朗読の日」

6月18日19日の2日間、新橋の博品館劇場で、NPO日本朗読文化協会主催の第18回「朗読の日2022」が開かれた。

3年振りの開催とあって盛況、開演前の長い列の人、人、人。
土曜日の午後2時間30分の間のチケットを購入し、全国から参加の12名の朗読者の成果に耳を傾けた。

朗読の世界は一定ではなく、表現も幅が広いことを実感した。扱うテーマは、すなわち参加者の興味の対象だろう。世代により様々な作品が提供される。表現の仕方も年齢で全く違う。

今回鑑賞した作品で言えば、実体験はなくても、伊藤左千夫「奈々子」がよかった。子供を亡くした親の気持ちが伝わってきた。自分の興味があるジャンルもはっきりしてきた。

朗読と言うより、一人芝居のように話される方、読むというより全て暗記されている方。様々な形があることを学んだ一日だった。

父の日 2022

昨日、6月19日は父の日だった。
2005年、79歳で他界した。もう17年も経つが、今年3月から貸家だった実家が空き家になった。近頃は掃除や換気に通っている。

先週、父の和ダンスを廃品回収業者に依頼した。
父の日に訪れた業者さんは「2階にあるタンスは階段の手すりを抜けるのはギリギリだ」という。後から取り付けられたのだろう。

何十年振りのアスコット・タイ

カラのタンスを全て開けると、今までなぜ気が付かなかったのだろう。前の入居者もそのままにしていたのか?
綺麗な色、柄のアスコット・タイがクリーニングの袋に収まったまま出てきた。

父の遺品、和ダンス

一瞬にしてオシャレだった父を思い出した。帽子が好きで、いつもかぶっていた。自宅療養時は初めて顎ひげを生やし、「意外に暖かいもんだ」と気に入っていた。

父の洋服が詰まっていた和ダンス、「回収に出すのはまだ早いよ」と父の声。新しい入居者のために残すことにした。

アゲハ蝶

庭先で遊ぶナミアゲハ蝶

6月10日、仏滅、実家で庭をぼんやり眺めていた。
現在空き家、どうぞ良い人が再利用してくれますよう。

父が設計し、建てた木造の二階家。
60年の歳月が流れた。

母は専業主婦、家で庭に花々を咲かしていた。
訪れる人は少なくても、園芸に取り組んでいた。

父は赤いバラの苗木を柵の近くに植えた。
伊東の友人からもらったみかんの木もたわわだ。

中国に定期的に行き、お土産を毎回買ってきた。
そのうちの一つが、陶器の庭テーブルと椅子セット。
週末はいつもゴルフで家族で遊ぶことは少なかったが
父が描く理想の家庭のシーンがあったのだろう。

そんなことを思い出していると、アゲハ蝶が現れた。
すぐにもう1匹飛んできた。2匹は戯れながら、木の天辺に飛び上がり、舞っていた。

アゲハ蝶は神の使いとも言われる。
この古い家もまた甦るのだろうか。

水と宝石

上野の国立科学博物館で「地球が生み出すキセキ、宝石展」を開催している。

ファイアーオパール、メキシコ

水のある惑星、青い地球。
地下深く、宝石をはぐくむ。
他の星は冷たく、水も宝石も生まれない。

水やマグマは分子を溶かし、濃縮し、宝石は発生する。

地球の空には、雲、雨、雹、雪、
地上には、海原、湖水、川、滝、山からの湧水、
生物、植物を潤し、みずみずしくする。

水惑星の地球には、豊かな水が満ちている。
地球は太陽のエネルギーを受け、
生命が誕生し、輝く宝石も添えられた。

丸池様、山形県

琉球展 ー沖縄の日本復帰50年記念ー

東京国立博物館で特別展が開催されている。
別の用事で上野に訪れたところ、同展の青空色のポスターが目を惹いた。予約なしで入場できるので、2日後、5月28日に同展を散策した。

円覚寺が所蔵していた御後絵
2012年に復元された14代尚王

8世紀に鑑真が立ち寄った。15世紀から450年余り琉球王朝が続き、尚家歴代王の複製肖像画が並ぶ。国宝指定の陶器も美しい。

国宝、色絵紅葉文風炉
第二尚氏時代、18世紀
琉球陶器を象徴する深緑の
瓢箪型花器

王朝時代は自然崇拝が生活の中心にあり、死者の世界を取り継ぐ「ノロ」と呼ばれていた老女の写真もあった。公的祭祀者だった。文化遺産を通してあの世とこの世が繋がっていた沖縄を知る。

上流階級向け器、青や黒の釉色

展覧会に行った次の日、NHKのEテレビで沖縄の普天間基地に隣接した「佐喜眞(さきま)美術館」を再放送で紹介していた。旧東ドイツの版画家、ケイト・コルヴィッツの戦争がもたらす醜さを表現した版画作品を多く所有している。「必然性のある作品は感動を与える」と佐喜眞館長が解説していた。いつかこの美術館を訪ねてみたい。

新刊本、朗読クラスのテキストで使う

3月に発売された「天使が語った道しるべ」が Y文化センターで5月、6月の朗読クラスのテキストになった。読書と朗読の違いを改めて意識した。

取り上げたエッセイは
ー戦争と平和
ー睡眠の謎
ー内輪の話
ー気持ちが晴れ晴れ
ータカラ袋 etc.

朗読は導入部の声の高い低いの調整、主語と述語を際立たせる等々、注意するポイントを教わっている。普段の話し方が影響されるのでむずかしい。

日本語の繊細さを改めて考えさせられた。例えば足跡は「あしあと」「そくせき」とどちらが適切か、選ばなければならない。変化は「へんか」「へんげ」、永遠も「とわ」「えいえん」と二通りに読める。

その他にアクセントで聞く人に意味の違いを伝える言葉もある。奇跡と軌跡、ソウル(魂)とソール(靴底)、団扇と内輪など。

初心者としては、読書と違って朗読は歌唱のようなアクティブな共通点を多々感じる。

イングリッシュガーデン、バラ満開 2022

一年前、連休明けの平日に満開のバラ園を訪ねた。

5月12日木曜日、良く手入れされ、年季の入ったバラのスガタ、香りを求めて姉とバラ園前で待ち合わせた。

今年は予想外の混雑振り。横浜駅から出発の送迎バスも満員で次のバスを待つほどだったそうだ。バラ園まで徒歩でアクセスした私も入り口の長蛇の列に驚いた。穴場的スポットも今は人気スポットになった。

先に園外のパラソル付きのテーブルで、持参のおにぎりでランチを取ることにした。13時前にやっと入場を待つ人の列が短くなってきた。

以下は別世界で咲き誇る最盛期のバラたちの記憶。

Tisa1
Th2
Th3
Th4
Th5
Th6
Th7

旅気分

連休中はほとんど家にいたが、3年振りに開かれた益子陶器市を訪ねた親戚から、お土産をいただいた。

宇都宮市大谷町
 工房「陶遊舎」から

和風の一輪挿しで素敵な花器があれば、ということでリクエストした。この作品は陶芸家、横浜出身の谷口直之さんの作品。「大谷石を釉薬と粘土に融合させて新たな焼き物の可能性を探求している」と説明書きにあった。

竹細工に見える部分も陶器、瓢箪型のドッシリとした存在感のある一輪挿しだ。

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