うちわの話といえば、外に出さない個人的な話、家族・親戚などの身内の話、自分が属する組織内部などの話を指す。外部の人には直接関係のない小さな地域での話である。
うちわの話が外に出ると当然厄介なことがある。例えば、外の人に理解を得られにくい話なので、正しく伝えられない、無責任な噂の的にされてしまう、私的すぎるので外に出ると意識しすぎるなど。
うちわの話が外に出ていいことはあるだろうか?
少しはありそうだ。例えば、思わぬ傾聴すべき意見を聞ける、一緒に考えてくれる人も出てくるかもしれない、外の見知らぬ人が自分の身近に感じられるかもしれない。しかし、うちわの話は本来は内にあるべきなので外に出ると、内外をまたがった話になる。
これはその話の持つ本質が変わってしまうことを意味する。内に留まっているうちは密度の濃い存在だが、いったん外に出ると密度が薄くなるだろう。密度という言葉がわかりにくければ、重要性といってもいいと思う。
うちわで留めておくうちは重要性があるが、外に出るとうちわの話でなくなる、巷の話に変身してしまう。