不況と好景気は対の言葉である。経済学者が不況、好景気を決めるのが一般的である。しかしこれだけ人口が多いと、実は不況の時に好景気を感じている人もいれば、好景気の時に不況を感じている人もいる。
数値で全体をひとくくりにするので、不況感や好景気感が作られる。両者はいつも共存して押し合いへし合いをしている。丸いボール状の容器に水と油が動いて押し合っているようなものである。全体量はちょうどよく収まっており、割合も変わらないのにどこに油が流れるか。どんな形で流れるか。
容器を振るとドレッシングのように油は細かく分散する。容器を振るには大きな力がいる。例えば天変地異が起これば、人々ははじめから自給自足をしなければならないので、不況も好景気もない。ドレッシング状態である。しかし、これは望まれないだろう。今まで構築したシステムが崩れるのは無駄である。
外側からではなく中からの振動が穏やかなやり方だ。中心から分離するやり方とは? 世界中央銀行はどうだろうか? 場所に応じて平均的経費を設定し、余った富は義務的に中央銀行に預けること、平均的経費が足りないところは無料で借り入れができること。中央銀行の首脳陣は平等に各国からの代表からなり、決定権も均一であること。経費以外の大型ボーナスも定期的に支給すること。たとえばの話であるが、一つのアイデアである。
個人レベルの話に持っていこう。不況と好景気、どちらを選ぶかとすれば、好景気を選ぶ人が多いと思う。しかし、不況の良い点もたくさんある。不況になると、ものを大事にする、助け合いの精神が強くなる。頭を使って生活をするので脳トレーニングになる。お金をかけずに、まわりの価値あるものを楽しむ術がつく。好景気の悪い点は、まずこれらの逆が考えられる。ものを大事にしない。人間関係にお金が多く割り込んでくる。脳を使わずに、お金を使う単純な生活になりがち。
不況の時の理想は、現実の生活では不況、しかし、気持ちは好景気が良いだろう。好景気の時は、現実の生活は景気が良くても、気持ちは不況の時の考えを維持することだ。どちらも忘れてはならない。生きている間、どちらも経験することだからだ。