真夏の少し怖い話

今年の夏は特別に暑い、熱い。
怪談を書いてみよう。
遠い昔の実話です。

その頃私は忙しい会社員生活を送っていた。
夕食も終えて、ゆっくりとソファにくつろぎ、ぼんやり考えていた。トピックスは流れる雲の如く浮かんでは消えて行く。

その中で「私は何者だろう?」とふんわり考えていた。

すると電話が鳴った。もう夜11時を過ぎている。こんなに遅く電話がかかってくことは稀だ。イタズラ電話か間違い電話だろう、と思いつつも、受話器を取った。

電話の主は、名前を名乗るでもなく、相手を確認するでもなく、いきなりこう話しかけた。

「私が誰だかわかる?」

そして私の返事を待たずに、すぐに電話は切れた。少し微笑みを含み、いたずらっぽい声だった。

静寂の中、取り残された私は声の主は誰だろう、としばし考えた。男性か女性かわからない、こもった声だ。聞いたことがない声。そして気がついた。

あれは私の声だ。

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