一週間後、戦争の終結宣言があるや否や、彼らは自家用車に荷物を詰め込み、一刻も早く家に帰りたいという様子で出て行った。
宿泊の部屋は4人用だが3人で使用することになった。ルームメイトは特殊児童の教育に携わるアメリカ人と、イスラエルへ移住を希望しているブラジルからの若い女性だ。彼女は英語を話さなかったので、挨拶以外のコミュニケーションは難しかった。アメリカ人は社交的で年齢も近かったので心強いルームメイトになってくれた。
ところで私は自分に対してウルパン滞在中の心得を二つ考えた。
●一人行動をしない。自分から積極的に人々の中に入って行動をする。
●好き嫌いを表さず、多くの人と友達になる。
これらのスローガンを決めると、言葉の持つ力だろうか。一人旅、しかも未知の学校生活を目前にして、何も心配することはないと思えてきた。多くの新しい体験を通して充実した学校生活になるだろう。
新学期1日目、説明会とクラス分けがある。決められた集会室に早めに行った。すると何と年配の日本人夫妻が待っている姿があった。この政情不安定の時期に、両親と同じ世代の日本人がウルパンに来ているとは予想だにしなかった。
聞くと男性の大沢氏は70歳を過ぎて二度目の入学。すでに5年もヘブライ語を続けており、夫人のしづえさんは初めての挑戦、しかも英語はわからないという。特に夫人の勇気にびっくりした。クラス分けの結果、しづえさんと同じクラスになり、英語の説明がある時は通訳することになった。

世界各地から参加
クラスメートの顔ぶれ。ロシアからの移民の夫婦、休暇を利用して参加したスイスからの航空会社勤務の若い女性、韓国からの駐在員、ロシアから移民で大学の物理を教えている教授、アメリカから長期旅行中のピースメーカーと称する男性、その他、南アフリカ、フランス、ナイジェリアからの参加者15名の小クラスだ。
皆ヘブライ語の初心者なので授業では日常会話が多くなり、自己紹介やら各国の事情が話題となった。ロシアからの物理学者とナイジェリアからの留学生がひょうきんで旺盛なユーモアのセンスがあった。二人のおかげで和気あいあいのクラスになった。