紅葉の名所、香嵐渓を訪ねた

11月10日、静岡駅からバスで香嵐渓を訪ねた。予想通り紅葉狩りには少し早かったが、暖かい気候の中、色づき始めた森や美しい巴川や待月橋(たいげつきょう)を歩いた。

待月橋

巴川の中の石が立派で、水は澄んでいる。愛知県三河線豊田市駅より車で45分、こんなに美しい川と森があるとは。バスのグループツアーで訪れたので、散策時間は2時間だ。まずは赤い待月橋を渡り、右側の川沿いの道を進むとお茶席やカフェ、そして香嵐渓広場に出る。昔ながらの猿回しの演技に人だかり。

掲示されていた貼り紙
昭和のかおりがした

静かな場所を求めて三州足助(さんしゅうあすけ)屋敷に入った。ここは入場料300円で、きれいに整備され気持ちの良い古民家が10棟ほどある。それぞれ、地元の人たちが地場産業を実演している。わら細工、機織り(はたおり)、傘屋、桶屋、紺屋、紙すき、篭屋、炭焼き、鍛冶屋、木地屋の仕事振りを見せてくれる。楽しい場所で1時間はすぐに過ぎた。中庭には牛もいた。

足助屋敷の中庭

歩き疲れたので炭焼きコーヒーの店堅香子(かたかご)カフェに入った。川沿いのテラスから川がよく見える。ほろ苦いコーヒーは美味しかった。お土産に地元の山そだち紅茶も販売していた。

カフェから眺める巴川

2時間はあっという間に過ぎた。交通は、名鉄名古屋本線東岡崎駅からバスで60分と奥まっているが、またいつか散策したい観光名所だった。

お伊勢参り

令和1年11月11日、1が5つ並ぶお日柄の良い一日に伊勢神宮お参りを果たせた。

天気は曇り、時々雷雨と予報されていた朝。

始めは二見興玉神社を参拝し、その後に伊勢神宮をお参りするという古からの慣わしに従って行動した。二見興玉神社は海岸線に沿って夫婦岩、天の岩屋などが祀られていた。まもなく晴れそうな曇り空のもと朝の散歩は、心地よく清々しい気分になった。

二見興玉神社の入り口
鳥居の中の夫婦岩

 

 

 

 

天の岩屋?の巨石が祀られていた

伊勢神宮の正式名称は神宮。125社をまとめた総称だ。はじめに外宮へ行きお参りをした。天照大神のお食事を司る神の豊受大神が祀られている。この神様はあらゆる産業の守り神でもあらせられる。外宮の火除橋は左側通行。内宮は天照大神をお祀りしている。入り口の宇治橋は右側通行。橋の向こうの結界に敬意を表して鳥居の前で一礼してから渡る。

内宮の鳥居

 

 

 

 

 

内宮の入り口宇治橋
左に桜も見える

 

 

 

 

 

この日は平日だが、団体客も多く賑っていた。

バスのグループの年配の紳士が、伊勢神宮をお参りできることだけでもすごいことなんですよ、と感想を述べられた。静かな空気と自然色の建物。華美なところは何もない、その場所に2000年の長きにわたって多くの人々は惹きつけられ、心の拠り所にしてきた。

正宮でお参りを済ませ、荒祭宮(あらまつりのみや)で個人的なお祈りをした。その帰り道、宇治橋の手前で静かな池を見つけた。誰一人いないのが不思議だったが、引き寄せられるように池の淵に近づいた。すると何匹かの錦鯉がやってきては離れて遊泳している。水面には晴れた空と真っ白い雲も映っている。秋の落ち葉、古いコケ類。時間が止まったような美しいときだった。後で観光用絵地図を見ても載ってないようなひっそりとした池だった。

錦鯉舞い、白い雲を映す
秋の美しい水面

翌日のニュースでは伊勢地方は雷雨が通り過ぎたり、雹が降ったりで、珍しい荒れた空模様だった。その合間をぬって、雨にも会わず、晴れた空のもと、お参りができたことも心に残った。

ハイデルベルグ (3)

ハイデルベルグで公園に不思議な噴水を見た。ビスマルク広場近くで、ハウプト通りからよく見える。始めは水道破裂で大量の水が噴き出しているのかと思ってビックリした。近づいて見ると池から出ているのだ。ハイデルベルグは山間に位置している。ネッカー渓谷からの自然水だろうか? 説明書きの立て札も見当たらず、ネット検索でも出てこない。

ビスマルク広場近くの大噴水

歩いていると、聖霊教会よこに人気がありそうな、ほぼ満席なレストランを見つけた。クラシカルな室内テーブルと外にカフェテリアを備えている。ちょうど聖霊教会が目の前にそびえるよい席が空いた。メニュー選びで迷い、One plateとスープを注文した。これが美味しかった。旅行中、初めてドイツらしいソーセージや春巻き風揚げ物、マッシュポテトなどの盛り合わせ料理。一皿を二人でシェアしても満足な量だった。

 

最後の晩餐

こうして、最後の夕食を取りながら、ビールで旅の無事を祝った。感謝です。

ハイデルベルグ、クルージング(2)

船は定刻に出発。しばらくすると隣りのマッシュー君が何か言いたげだった。このドイツの若者は一人旅だ。イエス?と話しかけると、川の中で人を見つけたらしい。よく見ると冷たい水の中で男性が泳いでいた。

ハイデルベルク城

オー、アンビリーバブル!で会話が始まった。ブレーメンから休暇を利用して車でハイデルベルグの親戚の家を訪ねた。1日チケットは便利だ、と見せてくれる。話し始めると大きな声で高笑いする陽気な人だとわかった。仕事は警備員で食料品を扱う倉庫で侵入者をモニターチェックをしていると言う。船内に犬がいたので、犬は好きですか?と聞くと、まあまあ、猫の方が好きだ、と答える。2匹の猫を飼っている。彼らはまったく性格が違う、オスの三毛猫はダランダランしておっとりしている。一方、白黒のメスは騒がしく、子供が来ると毛を立てて追いかける。彼は、英語が得意ではない、ごめんなさい、と言いながら、すべて身振り、手振り、猫の鳴き声、顔マネを交えながら説明した。とてもおかしかった。プロの芸人のようでモノマネが上手だった。

上流の折り返し船着き場

例のサイン帳に好きな言葉を頼むと、哲学的なフレーズは浮かばない?
しばらく悩んで、モインモイン、と書いた。これは彼の造語で、朝、昼、晩と使える挨拶の言葉らしい。皆に受けているそうだ。最後にお礼のボールペンを渡すと、すぐにバッグの中でお返しの品を探し始めた。そして日本では見かけない特大のレッドブルの缶を指差した。500ミリリットル近くの缶、重たそうだ。
ノーサンキューと丁重にお断りした。

ネッカー川
川原で休憩中の水鳥

 

ハイデルベルグ、クルージング(1)

9月16日、月曜日。旅も終わりに近づいて明朝はフランクフルト空港から羽田へと帰路に着く。最終日は観光スポットを見つけるのではなくノープランで行こう。

朝食をゆっくり多めに取り、9時過ぎにホテルを出た。ネッカー川を目指し進むとほどなく、川沿いの道を見つけた。歩いていると観光船発着場がいくつもある。出発時間を調べると11時出発3時間のクルーズがあった。料金は17ユーロで高くはない。天気も良いし、船上からハイデルベルグの町並みや城や城壁も眺められる。

 

出発まで1時間余りあるので、そのまま川岸に沿って散歩を続けた。有名な古い橋、カールテオドール橋のふもとについた。モダンな猿の像がシンポルになっている。頭部が空洞になっており、そこに頭を入れるとラッキー?。猿の手にある金貨をさわると金運がよくなる。奈良の東大寺にもくぐり抜けると幸運、という柱があったのを思い出した。早速、試してみた。頭はするりと入った。何か期待ができそうだ。

11時10分前に船着き場に戻ると、すでに十数人の観光客が並んでいる。ほとんどが2階野外デッキに行く。昇ってみると席はほとんど満員。大型犬を連れている人もいた。上流の停留所で下船して3時間ハイキングして、5時発の船に乗ることもできる。山歩きスタイルのグループもいた。席を探していると、最後列の船の手すり近くに2つ空席がある。上下グレーのスエット姿のマシュマロマン風の男性がここ空いてるよ、とジェスチャーで示した。折りたたみ椅子の個人席だ。テーブル席は満杯。狭そうだが、落ち着けるかもしれない、とそこに席に決めた。客の後ろ姿が多いが、デッキ全体の様子も眺められ、両側の景色もよく見えた。

 

アーヘンから列車の旅

9月15日の日曜日、4泊したホテルを後にしてアーヘン駅へ向かった。ケルンまでは各駅列車に乗り、そこからハイデルベルクまでドイツの新幹線と呼ばれるICEを利用した。

アーヘンを11時51分に出発。スーツケースを引いて二人分の空席で出口の荷物収納場所がよく見えるところを探した。座席上部の席番号がないところは指定席でないとわかる。行きつ戻りつ、4人掛けの席に座ることにした。すでに髭の男性が分厚い本を開いて静かに読書している。一見風格のある気難しそうな人に見えたので最初は通り過ぎたのだ。

人は見かけによらず。しばらくたって、おもいきって話しかけた。「私たちはケルンで乗り換えてハイデルベルグへ行くところです。」

男性は顔を上げ、「僕はベルリンまで行きます。大学生です。」「何を専攻されていますか?」 「哲学ですよ。」

何か話が合うような気がしてきた。

「私も宗教に興味があります、クリスチャンですか?」 「そうだけど熱心ではありませんね。」「今、母の追悼の旅でドイツを回っています、よかったらこのミニアルバムに好きな言葉かフレーズを書いてくれますか?」 「それはいいアイデアですね。」

前日のケルン大聖堂で書いてもらった言葉、Have faith. を見ながら、信仰も大事だけど、僕は自分自身に対して「強くあれ」、と言っています。と説明して、

Be strong.とドイツ語で書いてくれた。その後も話がはずみ、なぜハイデルベルグに行くのか、など積極的に質問してきた。

降りるとき、よい時間を持てたと握手をして別れた。姉は、学生とは思わなかったね、素敵な人だったから写真を撮ればよかったね、と言った。私はこの哲学する学生との記念写真は撮らない方が余韻が残るだろう、と思った。

ハイデルベルグ駅には15時34分に到着した。タクシーで旧市街にあるホテルに向かった。古い建物を改造したペンション風のかわいいホテルだ。

ケルン、駅近くで買い物(3)

旅のお土産にオーデコロンの発祥地のケルンでコロンを買うことにした。「ケルンの水」という意味だ。ナポレオン軍占領下、人気となったコロンの老舗が駅近くにある。店の名の4711はナポレオン時代の住居表示だ。店内は混雑していた。サンプルをいろいろ試して、バラの香りを選んだ。人気の香りのようだ。たくさんのギフト用リボン付きのラッピングの箱が並んでいた。

その近くにLブランドのバッグショップがあった。今回の旅に使っていた貴重品入れのショルダーバッグは風袋が重い。軽い素材のバッグを探しに店に入った。1階は高級品、意外に2階にカジュアルバッグが置いてあった。中国系の女性店員が笑顔で接してくれた。グレー系の軽い素材の小振りのショルダーバッグを選んだ。

店員は英語を話すが、ドイツ語も堪能のようだ。中国語は主語、動詞、目的語と同じ場所なので英語など習得しやすいそうだ。うらやましい。日本語はこの点で語順が違うので、英語の上達が一般的に遅くなってしまう。

彼女は中国から移住して15年。娘もドイツで育てている。サイン帳に好きな言葉を書いてもらうことにした。快く中国語と英語で書いてくれた。

祝悠幸福!

I wish you happy days.

話しているうちに6時近く。姉がきれいな色の携帯傘を見つけ、購入を考えていた。合理的なお国柄か、

「もっと考えた方がいい、もう閉店だし。」結局買わずじまいになった。残業はなし? 働き方は日本とは違うようだった。

ケルン、ルートヴィヒ美術館を訪ねた(2)

遅いランチを近くのホテルカフェで取った。大聖堂の周りはどこも混雑していたので、人気のない近くの路地に行った。客は誰もいないが、窓際の席から大聖堂の尖塔部がよく見える。ピザとスープを頼んだ。

目の前にローマ・ゲルマン博物館がある。食後はその隣に位置するルートヴィヒ美術館を訪ねた。現代美術のコレクションが多い。入場料は13ユーロで、荷物はホテルのようにクロークに預ける。撮影は自由だ。

ピカソ

中は広い。日本でこんなスペースの美術館はないだろう。作品ごとはかなり間をとっている。時間が限られているので、ピカソコレクションを中心に鑑賞した。今まで見たことのない絵画が多い。その他に、陶板や彫刻が個室コーナーに展示されていた。ここも初めて見る作品ばかりだ。土曜日の午後、鑑賞しているのは数人だ。ゆっくりできる場所だった。

アルルの女
モジリアーニ
「アルジェの女」

今、人気の高いモジリアーニの作品もあった。見覚えのある女性だ。帰国して絵葉書のファイルを見たら、同じ絵が入っていた。「アルジェリアの女」だ。本物に会えるとはすごく低い確率だ。1920年に若くしてこの世を去ったイタリア出身の画家。苦悩があったのだろうか。一目で見たら忘れない女性像を多く今の世に残した。

ケルン大聖堂に上った(1)

9月14日土曜日、今日は世界遺産のケルン大聖堂を訪ねる。

アーヘンから列車でケルン駅まで1時間足らず。日帰りの旅だ。往復チケットは46ユーロだ。

のんびり車窓を眺めていると、突然巨大な大聖堂の一部が出てきた。駅のすぐ横に位置しているので、迷うことはない。土曜日の午前中で特に混雑していた。建物正面に向かうと中国関係のイベントの仮テントやステージが広がっていた。ケルン大聖堂

とにかく中へ入ろう。礼拝堂に行くと祭壇の前で集会、ミサ?の最中だ。後ろの席近くは立ち入り禁止の紐が張られており、真ん中で祭司の服装のヒゲをたくわえた若い男性が立っている。手前の観光客が入らないよう番をしていた。そんな雑踏の中、インタビュのことを思い出した。

”Excuse me. May I ask a big favor?” (厚かましいお願いですが。)

と話しかけた。はい?と答えてくれたので、

「私は今5月に他界した母の追悼旅行をしている途中です。

あなたの好きな言葉をアルバムに書いてくれますか?」

数秒考えて、”Have faith.” と英語で書いてくれた。名前はニコ。まったくこの名前にピッタリの印象の教会の方だった。

聖堂内は人が多すぎてゆっくり観光ができない。外に出て、南側尖塔に上ることにした。建物を出て左側に行くと、地下へ続く階段がある。入り口で入場料2.5ユーロを払う。らせん階段で両側通行。エレヴェータはありません、のサインがあった。533段で急な階段。体力のない人は上らないでください、と注意しているようだ。ガイドブックには30分かけて上り、翌日膝が痛くなった、などのコメントもあったが、せっかくだ。高いところに絶景が待っている、いざのぼらん。

ケルン大聖堂の南尖塔からの眺め

ゆっくり上れば、それほどきつくはない。途中に大きな鐘が置いてある休憩スポットもある。上がってよかった。157メートル上空は天気がよく、ライン川や橋、遠景がくっきり広がっていた。柵も気にならなかった。

明け方、母から言葉を受け取った

9月14日の明け方4時頃、テレビの方からなにやらミシミシする音で目が覚めた。しばらくベッドの中にいたが、恐る恐る起きてみるとテレビの電源が入って画面が黄色くなっていた。リモコンですぐに電源を落としてベッドに戻った。

すると心の中に母からのメッセージが浮かんできた。集中して受け取った。20分くらいだったろうか。その内容は要約すると次のようになる。

  • アーヘン大聖堂はとてもきれいだった。素晴らしい建物だったですね。

神様の創られるものはすべて美しい。

  • お母さんは退屈しません。生きている時も今も同じです。生きていると、不快なこと、感情的になること、気にしすぎることなどありますが、それらは地球の上ではチリやホコリのようなもの。吹き飛んでしまう。小さな凹凸は気にすることはないですよ。
  • ちさは変わらずに、いつまでもちさのままでいて下さい。

ドイツのアーヘンで母の感想を聞くことができて安心した。

そして励まされた。

確かに一緒に旅しているのだ。

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