「声優夫婦の、甘くない生活」

1991年、ソ連崩壊後(1990年)、国連軍とイラクのフセイン王が戦った湾岸戦争。当時を舞台に、ソ連からイスラエルへ移住したロシア系ユダヤ人声優60代夫婦の新天地での奮闘記だ。

若い監督エフゲニー・ルーマンは両親から聞いた体験話を後世に残そうとこの作品を製作した。

コミカルなタッチで描かれつつも、多くの社会的テーマが含まれている。巨匠フェリーニの作品を始めとする名作映画への熱い情熱、化学兵器に備えての政府からのガスマスク配給、移民の就職難や言語問題、熟年夫婦の問題などなど。若い観客はすぐにわからない事も多いだろう。

1991年9月、イスラエルの首都エルサレムで三週間、私は縁あって知人宅に滞在していた。湾岸戦争はすぐ終わり、観光目的の渡航が可能だった。この映画で30年前の中東の状況を思い出した。

ロシアから100万人規模のユダヤ人移民が、聖書に書かれている自分たちの祖国を目指した。ソ連にいた頃は、著名な学者、有名な音楽家、社会的地位が高かった人たちも職がなく、生活に困った。通りにバイオリンを奏でるロシア人が多く見られた。映画の主人公はこれらの中の一組の夫婦だ。

イラクからのミサイルの落下跡も残る中、人々が庭でバーベキューを楽しむ姿もあった。遠い国情が異なるイスラエルだが、日常生活やその中での感情は世界共通だ。小さな幸せがトラブルとともに交互に訪れ、将来へ続くことを描いていた。

年の瀬の景色

「良いお年を」と美容院で挨拶され、もう年の瀬が迫っていると実感した。
今年は季節感や時間の感覚が薄れている。皆はどうだろうか?

2年前に紫色の香りの良いシクラメンを見つけた。今回は2回目の購入。花の数がとても多く、日々様相が変わる。二週間目にハートの形になった。

セレナーデア、シクラメン

12月18日の金曜日、元町のクリスマスの様子を散策がてら見に行った。家なか遊びで、3Dの写真をネットで見つけ、外の風景との(※ 個人使用限定の)合成写真を撮ることを思いついた。すると同じようなことを考えている人はいるものだ。自転車にプロジェクターを積み、お洒落な店の外壁にマッピングをして歩いているグループに出会った。子供たちを交え、楽しそうに動いて行った。

プロジェクトマッピング
元町通り

 

 

 

 

 

 

 

 

私の方はヒョウとコアラで遊んでみた。今年も多くの出来事が時を刻んだ。

通りのベンチとヒョウ
今年を振り返って

12月の夕焼け

12月14日、夕刻4時30分。洗濯物を取り込む時間だ。ベランダから見える空が赤い。

美しい天然色、夕焼けの空

赤く染まった空に日が暮れる黄金色の光が見えた。近年まれに見る色彩に目を奪われた。美しい自然に出会った時、すぐにカメラを取り出すとじかに自分の眼で時間が少なくなる。この時は初めに1枚撮り、そのあとは夕焼けの空をしばらく眺めていた。いつもは刻々と変わる夕焼けだが、ゆっくりと長く続いた。グレー色の太い線が放射状に現れてきた。

冬の空気は澄んでおり遠くまで視界に入る。
地図を見ると、手前の秦野市の後ろに見えるのは、金時山(箱根)、明神ヶ岳。左は神山、駒ヶ岳と連なる。

2020年の12月、ひとときの空からのおくり物だった。

長生き観葉植物

観葉植物はインテリアに欠かせない。
私がする世話は、1週間に1、2度の水やりだけだったが、忘れることはない。我が家でいちばん長寿の木は観音竹でもう樹齢40年以上になる。買った時は1200円で30センチほどの高さだった。観音竹は葉の先が枯れやすいが、きれいな形とツヤを保っている。枯れた葉も何枚かあったが切り取った。

植え替えは根が張りすぎでできないので、植木鉢だけ特大なものに入れ替えて、安定をよくした。

一度引越しを経験しているが、今は和室の窓辺に近い場所に置いている。
旅行で10日間くらい水をあげなかった。しかしずっと元気だ。私の40年間の歴史を見守ってきた。きっと何でも知っているだろう。

観音竹、樹齢40年

次に古株なのがモンステラだ。初めは普通のモンステラの葉っぱをつけていた。20数年経って、葉のデザインが変わり、すべて丸いハート型になった。たくさんのハートが空中に浮かんでいるようで面白い。

ハートの形になったモンステラ

京都日帰りツアー、建仁寺(3)

夕刻、最後に訪ねたのは、京都最古の禅寺、建仁寺。
17時30分から19時までの時間外貸切拝観ということで、かなり暗くなった。

中庭の「◯△□乃庭」は、宇宙の根源的な形、水◯、火△、地□を表現しているそうだ。

建仁寺、○△□乃庭

法堂の天井には平成14年に創建800年を記念して、小泉淳作筆、「双龍図」が参拝者を見下ろしている。

法堂、天井の双龍図
小泉淳作筆

見どころは日本史教科書にもよく登場する国宝の「風神雷神図屏風」、俵屋宗達の作品だ。今回展示されているのは、小型の陶板製作品とキャノン社デジタル技術で複製された作品。説明の札を見て初めて複製と気づくほどの立派な作品だ。

風神雷神図屏風
俵屋宗達作、国宝

京都の日帰りツアー、天龍寺 (2)

貴船川沿いにある「べにや」でボリュームのある懐石料理を頂いた。
午後1時にバスは世界遺産の天龍寺へ向う。今回は夢窓国師の回遊式庭園、「曹源池」と法堂天井に描かれた加山又造の「雲龍図」の鑑賞となった。

紅葉の見頃はほぼ終わっていた。夢窓国師は苔寺として有名な西芳寺の作庭でも有名な禅僧で、政治家でもあった。「後醍醐天皇」と不仲だった「足利尊氏」。夢窓疎石は崩御された後醍醐天皇を鎮魂するため、尊氏に天龍寺の創建を勧めた。尊氏の弟、足利直義と協力していわゆる「天龍寺船」で中国(元)と交易を行う。そこから造営費用を得て、天龍寺と庭を完成させた。

夢窓疎石は「怨親平等」(おんしんびょうどう)という有名な言葉を残した。

人間界で敵・味方なく、平等に向き合うように、という教えだ。疎石の曹源池は、人間界を含む自然界の中で、すべての生き物が共に生きている絵を表現しているようだ。

天龍寺、曹源池(そうげんち)

 

天龍寺、鬼瓦2種

天龍寺から歩いて15分の場所が遊覧船やボートの乗り場だ。
20名位乗船できる舟で30分程度の桂川クルージング。途中、渡り鳥たち、崖に嵐山モンキーパークの猿たちの姿も見えた。南米の外来種ヌートリアも川沿いの穴から出現するらしい。今週初めの3連休では100艘くらいの舟で混雑していたそうだ。この日は平日で空いており、のんびり動き、浮かんでいた。

嵐峡を巡る渡し舟

京都日帰りツアー、貴船神社(1)

貴船神社、絵馬の発祥地

11月26日、新幹線のぞみを利用して日帰りツアーに参加した。京都での滞在時間は9時から夜8時までの11時間だ。

日中の気温19度、晴れたり曇ったりで風は心地良い。貴船神社は鞍馬近くの山に1300年前に創建され、水の神様を祀っている。これは日本書紀と同じくらいでかなり由緒ある古い神社。

絵馬の発祥地で本殿前に2頭の馬の像がある。和泉式部、平實重(さだしげ)、源義経もここで大神様に祈ったと聞くと、歴史上の人物も身近に感じる。

2頭の馬、古くは歴代天皇が日照りの時には黒馬、長雨の時には白馬または赤馬を捧げ祈祷された。のちに生馬の代わりに「板立馬」を奉納したことから、現在の絵馬の由来になっている—そうだったのか、とても興味深い説話だ。

しかしここは日照りには縁遠いような渓谷、川縁に並ぶ石垣の

貴船川、苔に覆われた石垣

豊富な苔が美しい。紅葉のピークの後の枯れ葉が地面を覆っていた。

桂(ご神木)
貴船渓谷を流れる川

 

 

 

 

 

 

 

北鎌倉、懐石料理と散策の半日ツアー

11月20日、23度と季節はずれの暖かい天候に恵まれ、天気予報の小雨にも会わなかった。北鎌倉の古民家レストランで「懐石料理の昼食と付近の寺を巡る小さな旅」を企画。

北鎌倉駅付近の紅葉風景

フランスから来日の友人と駅で待ち合わせた。徒歩10分で着くはずの幻董庵、住宅街で迷い、お店に電話。お女将さんが自転車で迎えに来てくれた。親切、家庭的で、近頃珍しく嬉しくなった。予約した時間は13時だ。道端に咲く花や木々の話をしながら、焦ることなく、門に辿り着いた。

幻董庵、入り口

建物は昭和初期の2階建の木造。庭の松や季節の紅葉が美しい。正面にそびえる崖も種々の緑で覆われている。懐石料理は2時間ほどかけて頂く。始めの食前酒の梅酒からコースが始まる。器と料理の盛り付けを楽しみながら、3時30分過ぎまでゆっくり会話を楽しんだ。コロナ対策で席は四人テーブルを対面で二人で使用した。

懐石料理
幻とう庵、門の上で遊ぶリス
Photo by Emi

帰りがけ、庭に2匹のリスが突然、かけっこしながら現れた。友人がカメラシャッターをリスに負けないくらい早技で撮ることに成功。若い人は機敏だ。4時近くになり、近隣のお寺を散策することにした。お店の人が東慶寺と浄智寺が近くて女性にお勧めと、地図をくれた。

浄智寺、境内

駆け込み寺で有名な東慶寺は、ギリギリ閉門時間に間に合って参拝できた。浄智寺は関係者葬儀をされていたが、境内に入った。巨大な岩の横道の先に薄暗い洞窟の布袋尊が見えた。境内を一周した。

静かな薄暗い空のもと、鳥の鳴き声が?と思ったら、リスが私たちのいる頭上の枝で、しきりに鳴いているのが見えた。喋っているように聞こえる。その声はずっと続いていた。

東京国立博物館のゆりの木

11月12日、東京国立博物館の特別展、「桃山ー天下人の100年」を訪ねた。
建物の前にそびえる一本の大木は秋の色。このゆりの木の雄姿が一番印象に残った。平成18年の記録では高さは32メートル、幹回りは48メートルとあった。

葉っぱの形は奴凧のような半纏をしていることから、別名、半纏の木。北米原産の落葉高木だ。1881年?、30粒の種から育ち、現在は140歳位。モクレン科で春はチューリップのような花をつけることからチューリップツリーとも呼ばれる。

大きく広がる枝と幹を支えるのは、もちろん根っ子だ。木の巾と同じくらい広い範囲で根が伸びているのが見える。人々が踏まないように低い柵で囲ってある。根っ子の姿も力強い。

北鎌倉古民家ミュージアム、絣展

11月8日、日曜日の外出は久しぶりだ。
暖かな、やや曇り空の午後、絣展と近くの散策を思いつき、家を出た。

円覚寺の座禅会が催されたのか、寺の入り口は人がやや多かった。ミュージアムの中は二人。日曜日の午後とは思えない位、静かだ。その中で明治、昭和の古典的絣作品が待っていた。目を引いたのは久留米絣団地で制作されたお祝いのために作られたタペストリー。日露戦争に勝ったときの記念に創られた。日露の文字、大勝利の文字、軍旗をあしらったデザイン。他に病院が開院したときの記念品。万歳とある。古典久留米絣は幾何学模様、クロスが特徴で、はっきりした輪郭が印象的。

久留米絣、日露戦争、大勝利
病院の開院、万歳

伊予絣の自動車とケマリを並べたデザインも可愛かった。昭和初期の子供用の着物。

伊予絣、自動車と蹴鞠

今年の1月に訪ねた奄美大島の龍郷柄着物も幾何学模様が素晴らしい。

奄美大島紬、龍郷柄

お土産に久留米絣のマスクを買った。

久留米絣のマスク
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