ノマドランドは2018年に出版された本「ノマド:漂流する高齢労働者たち」が原作のドラマ映画だ。
2008年のリーマンショック後、持ち家のローンを払いきれず、手放す人々が多くいた。主人公のファーンは夫を亡くし、住まいの住所の郵便番号も亡くなり、RV車で車上生活をしている。以前は臨時教員をしていたが、今は日雇いの移動労働者だ。少額の早期年金受給も選択にない。
登場人物はファーンと友達になったデビッドを除いて、すべて実際に流浪の車上生活をしている人たちだ。今からわずか3年前の2018年の映像だから、今も続く社会問題を提起している。経済格差から生まれた貧しい人たちが映る。
しかし、その裏に多く人たちの心の歴史がある。
主人公は「ホームレスではなくハウスレスよ」とプライドを持って、通りがかりの子供の言葉を訂正する。
確かにハウスはなくても、ファーンの心の中にホームがある。妹や男友達から住まいの提供の話があっても、好意として受け取るだけだ。
今は海外旅行に出られない時代にあるが、普段映像では映らないアメリカの素朴な雄大な自然、郊外のアマゾン社の工場内、セットではない場末のレストランなど日本では見られないシーンも珍しかった。