知の巨人と言われた立花隆さんが、4月30日ひっそりとこの世を去っていた。
6月30日のNHKのクローズアップ現代で、急遽、追悼番組が放映された。ゲストの文芸春秋の元社長の話は尽きず、もっとエピソードを聞きたかったが、中途半端で番組は終わった。
多くの著作物を残されたが、私が読んだのは1997年の「インターネットはグローバル・ブレイン」くらい。73歳で自らもがん患者になり、「死」や「臨死体験」について世界各地で取材した。NHKでドキュメンタリー番組を作り、私も興味がある分野で視聴した記憶がある。
今回ジャーナリストで元外交官の佐藤優氏が文春でコメントを載せていた。佐藤優氏は神を信じる立場だが、立花さんと対談した時、波長が合わなかったそうだ。しかし晩年死や臨死体験(形而上学)に関心を持つようになった立花さん。「なぜ見えないものに関心を持たれるようになったか、天国に行ったら話したい」と述べている。
立花さんは多方面で専門家並みの多くの知識を蓄えていた。「知ることに終わりはない」。知りたい欲求が枯渇することなく、自分の病気体験、死も、探究の対象だった。
ふっと「なぜ山に登るの?」「そこに山があるからさ」の山男の答えを思い出した。知りたいから探究した人生、その情熱に説明はいらない。