「田中一村展」、千葉市美術館にて

田中一村展、千葉市美術館

2月22日、千葉市美術館を訪ねた。横浜から直通70分で千葉駅、徒歩15分以内にある。モノレールで2駅葭川(よしかわ)公園下車でも近い。

2月末までとあって予約はいらないものの入場制限され、20分くらい列に並んだ。

細長い建物の7階が展示場。一村初期の南宗画、書画、掛け軸や個人像の式紙、金屏風、友人とやり取りした葉書、晩年まで19年過ごした奄美の自然画。毛筆の字も見入ってしまう。

2020年1月、奄美大島の田中一村美術館を訪ねた。1年振りの鑑賞の機会、一村は「日本の宝」だとシミジミ感じた。花鳥風月の画家だ。昔の民家と庭、花を添えて緑繁る葉っぱを主役にした作品が多かった。

晩年の作品、孤枩(こしょう)は特にシニアに静寂を与え、共感する。海の向こうの雲が「金色の龍」の形をしている、とはなかなか気付かなかった。

孤枩、田中一村(絵ハガキ)

横浜美術館、長期改修工事前に訪ねた

横浜美術館コレクション展

今月末、横浜美術館は大規模改修工事のため、2年以上閉館になる。2月末までのトライアローグ展と美術館コレクション展と建物内装を駆け込みで見納めに行った。

特別展では、初めて出会ったジョアン・ミロの写実画。抽象画しか見たことがなかった。珍しい。

ジョアン・ミロ「花と蝶」、葉書

横浜美術館の所蔵品は撮影OK。ギュスターブ・モローの「岩の上の女神」や、横浜の風景を描いた浮世絵が印象に残った。

ギュスターブ・モロー
「岩の上の女神」

建物は1989年に丹下健三が設計した。2階の回廊の壁に鶴見区で生まれ、弘明寺の画塾に通った林敬ニの連作5点が飾られている。巨大な帆布の上、揺れ動く水の中に浮かぶ様々なモチーフを描いている。イタリアに渡り学んだテンペラ技法を使っている。

回廊に飾られた連作5作品、
林敬ニ

コロナに負けず「ガンバっ展2021」

画家のTさんからの小品展の案内葉書を頂いた。2月15日から1週間開催中だ。関内駅近くの画廊「楽」は以前も訪ねた。

T氏の絵は元気なハツラツとした女性と色彩が楽しい。今回出品の2作品は、昨年からのコロナ禍での空気をストレートに感じる。

“I hope….”, H.T

1枚目は「教会のステンドグラスを描いた」と背景の説明してくれた。
題名は “ I hope ….”

この後を個人的に考えた。
I hope for all of us to keep good balance in mind, body and spirit.

 

 

 

2枚目は少女が深刻そうな顔をして考えている。
題名は “I wish ….”

この絵画も自分に置き換えて、言葉をつなげてみた。
I wish that we could move freely as before.
I wish restrictions in our life would be removed sooner.

“I wish….”, H.T

天園ハイキングコースと弘法大師石像

坂道の奥につづれ折りの階段が続き、大小の12体の天狗像がすくっと立っている。他の地で見たことがない景色だ。頂上手前に浜松市の方広寺から移された半僧坊の社がある。この日は3時30分まで祈祷を受け付けていた。

ここは富士見台があり十分遠景を楽しめるポイントだが、さらに5分険しい階段を登ると頂上の勝上献に辿り着く。頑張って登った。金属の鎖の手すりを使いながら、ゆっくり登った。

半僧坊から徒歩5分、山頂へ
建長寺最奥、山頂から
建長寺境内と相模湾を臨む

山頂からは建長寺全体、遠くに相模湾が広がっているのが見える。少し白く霞んでいた。
山頂にはハイカーのおじさんが一人景色を眺めていたが、私が苦しそうに登って来るのを見て「頑張れ、頑張れ」と声をかけてきた。

この付近の常連さんらしい。これからハイキングコースで二階堂の覚園寺に出るというので、同行することにした。受付嬢に次いでこのおじさんのお陰で、ガイド付きで山道を歩くことができた。45分の道のりだ。

狭い道が続き、ある所ではロープの手摺りを使い、別のところでは両脇の背の高い草や気の根っこにつかまりながら進んだ。ロッククライミング一歩手前かと思われた。

地面に鎮座、弘法大師像

この日いちばんの出会いは、地面に降りた弘法大師の石像だった。
1年前は台座に鎮座されていたらしいが、今は向きが180度変わって横浜、東京方面に向かっている。以前は相模湾を見下ろしていた。

2019年の台風で落下した説がネットにあったが、推定500kg?の重さで無傷のまま正座されている。強い横風が押したと思えない。クレーンなどが使える広い場所でもない。

端正な美しい顔をされたまま残っている。巨福山建長寺を巡り、人も少ないこともあり、少し異界を感じた1時間のハイキングだった。

第八十八番本尊薬師如来讃岐國大窪寺と刻まれた台座

 

 

 

 

 

 

北鎌倉、建長寺

1月13日、予報通り、快晴の穏やかな朝。明け方、うとうとしている時、「そうだ。北鎌倉、建長寺を歩こう」と決めた。散策するには広い境内がよい。2時間の滞在としよう。

13時40分に北鎌倉駅に着いた。駅から15分で建長寺の立派な総門、そして三門に入った。もったいないことに人はほとんどいない。入山料は五百円、受付の女性が「今日は天気が良いので半僧坊まで登られると山から景色が良いですよ」と愛想よくパンフレットを手渡してくれた。

三門、重要文化財

初めに右手に国宝の梵鐘が下がっている鐘楼が目に入った。
可愛い形の茅葺屋根。
「鐘つけば銀杏散るなり建長寺」(夏目漱石)
立て札に親友の正岡子規はこの句を参考にして
「柿くえば鐘が鳴るなり法隆寺」を詠んだ、とある。

鐘楼と国宝の梵鐘

重要文化財の仏殿の中には珍しい中国宗風の「地蔵菩薩坐像」が安置されていた。座高240センチの木造。この地はかつて処刑場であった。死者を弔うために御本尊の地蔵菩薩が置かれていると伝えられている。

仏殿、重要文化財

歩を進めると「方丈」が開放されており、ここも無人。靴を脱いで中に入れると金澤翔子書家の作品が玄関前に特別公開されていた。

2010年、書家が二十歳の時の作品、「般若心経」だ。写真は前半部分。

方丈を後にして、金色に輝く中国様式の唐門から左の坂道に入り、受付嬢に勧められた半僧坊のある山を目指した。

京都日帰りツアー、建仁寺(3)

夕刻、最後に訪ねたのは、京都最古の禅寺、建仁寺。
17時30分から19時までの時間外貸切拝観ということで、かなり暗くなった。

中庭の「◯△□乃庭」は、宇宙の根源的な形、水◯、火△、地□を表現しているそうだ。

建仁寺、○△□乃庭

法堂の天井には平成14年に創建800年を記念して、小泉淳作筆、「双龍図」が参拝者を見下ろしている。

法堂、天井の双龍図
小泉淳作筆

見どころは日本史教科書にもよく登場する国宝の「風神雷神図屏風」、俵屋宗達の作品だ。今回展示されているのは、小型の陶板製作品とキャノン社デジタル技術で複製された作品。説明の札を見て初めて複製と気づくほどの立派な作品だ。

風神雷神図屏風
俵屋宗達作、国宝

京都の日帰りツアー、天龍寺 (2)

貴船川沿いにある「べにや」でボリュームのある懐石料理を頂いた。
午後1時にバスは世界遺産の天龍寺へ向う。今回は夢窓国師の回遊式庭園、「曹源池」と法堂天井に描かれた加山又造の「雲龍図」の鑑賞となった。

紅葉の見頃はほぼ終わっていた。夢窓国師は苔寺として有名な西芳寺の作庭でも有名な禅僧で、政治家でもあった。「後醍醐天皇」と不仲だった「足利尊氏」。夢窓疎石は崩御された後醍醐天皇を鎮魂するため、尊氏に天龍寺の創建を勧めた。尊氏の弟、足利直義と協力していわゆる「天龍寺船」で中国(元)と交易を行う。そこから造営費用を得て、天龍寺と庭を完成させた。

夢窓疎石は「怨親平等」(おんしんびょうどう)という有名な言葉を残した。

人間界で敵・味方なく、平等に向き合うように、という教えだ。疎石の曹源池は、人間界を含む自然界の中で、すべての生き物が共に生きている絵を表現しているようだ。

天龍寺、曹源池(そうげんち)

 

天龍寺、鬼瓦2種

天龍寺から歩いて15分の場所が遊覧船やボートの乗り場だ。
20名位乗船できる舟で30分程度の桂川クルージング。途中、渡り鳥たち、崖に嵐山モンキーパークの猿たちの姿も見えた。南米の外来種ヌートリアも川沿いの穴から出現するらしい。今週初めの3連休では100艘くらいの舟で混雑していたそうだ。この日は平日で空いており、のんびり動き、浮かんでいた。

嵐峡を巡る渡し舟

京都日帰りツアー、貴船神社(1)

貴船神社、絵馬の発祥地

11月26日、新幹線のぞみを利用して日帰りツアーに参加した。京都での滞在時間は9時から夜8時までの11時間だ。

日中の気温19度、晴れたり曇ったりで風は心地良い。貴船神社は鞍馬近くの山に1300年前に創建され、水の神様を祀っている。これは日本書紀と同じくらいでかなり由緒ある古い神社。

絵馬の発祥地で本殿前に2頭の馬の像がある。和泉式部、平實重(さだしげ)、源義経もここで大神様に祈ったと聞くと、歴史上の人物も身近に感じる。

2頭の馬、古くは歴代天皇が日照りの時には黒馬、長雨の時には白馬または赤馬を捧げ祈祷された。のちに生馬の代わりに「板立馬」を奉納したことから、現在の絵馬の由来になっている—そうだったのか、とても興味深い説話だ。

しかしここは日照りには縁遠いような渓谷、川縁に並ぶ石垣の

貴船川、苔に覆われた石垣

豊富な苔が美しい。紅葉のピークの後の枯れ葉が地面を覆っていた。

桂(ご神木)
貴船渓谷を流れる川

 

 

 

 

 

 

 

北鎌倉、懐石料理と散策の半日ツアー

11月20日、23度と季節はずれの暖かい天候に恵まれ、天気予報の小雨にも会わなかった。北鎌倉の古民家レストランで「懐石料理の昼食と付近の寺を巡る小さな旅」を企画。

北鎌倉駅付近の紅葉風景

フランスから来日の友人と駅で待ち合わせた。徒歩10分で着くはずの幻董庵、住宅街で迷い、お店に電話。お女将さんが自転車で迎えに来てくれた。親切、家庭的で、近頃珍しく嬉しくなった。予約した時間は13時だ。道端に咲く花や木々の話をしながら、焦ることなく、門に辿り着いた。

幻董庵、入り口

建物は昭和初期の2階建の木造。庭の松や季節の紅葉が美しい。正面にそびえる崖も種々の緑で覆われている。懐石料理は2時間ほどかけて頂く。始めの食前酒の梅酒からコースが始まる。器と料理の盛り付けを楽しみながら、3時30分過ぎまでゆっくり会話を楽しんだ。コロナ対策で席は四人テーブルを対面で二人で使用した。

懐石料理
幻とう庵、門の上で遊ぶリス
Photo by Emi

帰りがけ、庭に2匹のリスが突然、かけっこしながら現れた。友人がカメラシャッターをリスに負けないくらい早技で撮ることに成功。若い人は機敏だ。4時近くになり、近隣のお寺を散策することにした。お店の人が東慶寺と浄智寺が近くて女性にお勧めと、地図をくれた。

浄智寺、境内

駆け込み寺で有名な東慶寺は、ギリギリ閉門時間に間に合って参拝できた。浄智寺は関係者葬儀をされていたが、境内に入った。巨大な岩の横道の先に薄暗い洞窟の布袋尊が見えた。境内を一周した。

静かな薄暗い空のもと、鳥の鳴き声が?と思ったら、リスが私たちのいる頭上の枝で、しきりに鳴いているのが見えた。喋っているように聞こえる。その声はずっと続いていた。

東京国立博物館のゆりの木

11月12日、東京国立博物館の特別展、「桃山ー天下人の100年」を訪ねた。
建物の前にそびえる一本の大木は秋の色。このゆりの木の雄姿が一番印象に残った。平成18年の記録では高さは32メートル、幹回りは48メートルとあった。

葉っぱの形は奴凧のような半纏をしていることから、別名、半纏の木。北米原産の落葉高木だ。1881年?、30粒の種から育ち、現在は140歳位。モクレン科で春はチューリップのような花をつけることからチューリップツリーとも呼ばれる。

大きく広がる枝と幹を支えるのは、もちろん根っ子だ。木の巾と同じくらい広い範囲で根が伸びているのが見える。人々が踏まないように低い柵で囲ってある。根っ子の姿も力強い。

Translate »