箱根町観光、春うららの一日

3月28日金曜日、集合場所の小田原駅に着いた時は雨上がりの空だった。そのあとは気温も上昇、陽射しがやや強い散歩日和になった。日帰りバス旅行は9時に出発。参加者17名。

カタクリの花

午前中は仙石原の箱根湿生花園、冬季は閉館しており、3月15日オープンした。春の息吹を感じるが、ガイドさんによると新芽をニホンシカが食べるので、対策に苦慮しているそうだ。

説明中にも小鳥のさえずりのような鹿の声が聞こえた。

ミズバショウ

ミズバショウは意外にも毒性があるらしい。最近の教科書にはあの有名な歌は載っておらず、子供たちの認知度は低い。

アフリカの球根花
グラジオラス・ウオータミエリ

園の入り口建物ではアフリカの球根鉢植えが展示されていた。可愛らしい小花、香りを楽しんだ。

早川沿いの桜並木、宮城野

宮城野の桜並木は五分咲き以上。あんずや葉桜になった河津桜、ソメイヨシノ、まめ桜が早川沿いに並んでいる。

歩く花、
フェルナン・レジェ 1951

何十年振りの広大な彫刻の森美術館。世界中からの観光客が訪れていた。箱根いちばんの人気スポットだそうだ。以前は人がまばらだった。今はインバウンドの子供からシニア世代まで大勢の人が野外彫刻や広場で美術鑑賞、森の足湯に浸かったり、ガラスの塔を昇ったりして遊んでいる。

幸せをよぶシンフォニー彫刻 内部の壁面はステンドグラス風で光が透る
塔内は急な螺旋階段、古城を思わせる

旧嵯峨御所大覚寺展 @東京国立博物館

開創1150年記念特別展を上野東博に訪ねた。

嵯峨天皇が離宮・嵯峨院を造営、後に内親王の願いにより大覚寺に改められた。

狩野山楽らの障壁画や名刀、五大明王像など大きいサイズの宝物は写真でその迫力を伝えられない。板画、襖絵を部分写真で来館記念とする。

鶴図
渡辺始興、江戸時代

柳に燕図・安土桃山時代〜

紅梅の間の東面4枚と西面4枚を飾る襖絵の一部。春真っ先に芽吹く柳と夫婦仲良く子育てする燕。

襖の引手金具、天皇家の菊と徳川家の三つ葉葵がデザインされている

歌舞伎を描く(後期)@静嘉堂文庫美術館

前期展示を観て、2月26日に再びはっきりした明治の色彩、粋な錦絵を観たくなった。

以下は特に好きな錦絵7点を選んでみた。

ろうけつ染めのようなウサギ柄
豊原国周

 

役者9名が刺青を見せて競い合う(部分)・彫物絵が十八番の国周

 

白波八景・国周

 

白波八景、無縁寺の晩鐘、包丁の刃に板ぼかしがよくわかる、国周

 

七福神潮干狩り(部分)、喜多川歌麿
  版元:蔦屋重三郎

 

鞠に戯れる猫と蝶、国周

 

音聞淺間幻燈画、江戸時代・天明3年の浅間山噴火に取材した悲恋物語

 

長編名作「ブルータリスト」とアメリカ

3月1日土曜日、何かに急かされるように夜の部に予約、3時間を越える映画を鑑賞した。充実した時間を与えられ、余韻の残る作品に出会えた。

3月3日月曜日の午前中、NHKテレビでアカデミー賞受賞式のライヴ放送をしていた。そこで3部門をブルータリストが獲得した。主演男優賞のエンドリアン・ブロディのスピーチも偶然聴くことができた。彼は戦争と平和について言及し、「皆が笑顔で居られるように」と祈りのようにスピーチを締めくくった。

3月1日の夜のニュースから、アメリカ大統領官邸で行われた、ゼレンスキー大統領、トランプ大統領とバンス副大統領が世界中を仰天させた、討論場面が繰り返し報道された。富める者が弱い立場の者を問答無用に近いかたちで、討論を繰り広げた。アメリカのリーダー等は感謝の言葉を言えと、繰り返し要求していた。映画の中の富豪名士のハリソンとブタペストから移民して来たユダヤ人建築家のラースローが思い出された。

午前と午後の5時に光が入るように設計された天井の十字架

ラースローが自分の報酬まで投げ出して、必死に守った高い天井と細い複数の小部屋。彼が過ごした強制収容所と同じ面積だった。4つの塔はその地の火葬場を想起させる目的だ。

彼が建てた未完成のペンシルベニア州のコミュニティセンタは、虐殺されたユダヤ人の魂を慰さめるメモリアル建築でもあるのだろう。
そして同時に強制収容所の苦しみの部屋で過ごし、国のリーダーに自分の芸術を否定されたラースローにとって、空から注がれる十字の光は彼の堅い信仰の表現だと受け取った。

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